豊島区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例(令和2年第4回定例会 議員提出議案第13号)への対応について

「豊島区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例」が令和2年第4回定例会に議員提出議案第13号として上程され、審議の結果全会一致で可決をしました。
 都民ファーストの会豊島区議団・民主の会もこの議案の可決に賛成を致しました。
 この経緯のご説明とその後の対応について、ご報告をさせて頂きます。

議案の内容

令和2年12月に支給する期末手当の特例措置を講じ、0.05月減額する。
※特例措置での対応で、減額は令和2年12月支給分の期末手当に限るもの。
これは、報酬審議会を経ていないため、まずは政治判断で時限措置を取ったもので、過去のリーマンショック時などにもとられた手法です。

議案への賛成理由について

報酬審議会の答申が出る前のタイミングで、出来る限り多くの会派が賛同できる内容にした方がよいと判断したため、この条例案に共同提案者として賛成をいたしました。
令和2年10月23日特別区人事委員会勧告の下げ幅と合わせるのであれば、他の会派の同意を得られることが各会派との調整で明らかになり、当該議案の内容となりました。

しかしながら、私たちの会派は当該議案の下げ幅で民間の厳しい状況を反映しきれているとは考えておりませんでした。そのため、会派として独自の対応をとりました(後述します)。

ここで、議員報酬水準の判断の判断方法につき、少し説明を加えます。

報酬審議会は、議員報酬などの適否につき客観的に意見を聴く制度

特別職(区長、副区長、監査委員、教育長)と議員報酬に関しては、人事院(人事委員会)の勧告制度の対象外となっていて、原則は豊島区特別職報酬等審議会(以下、報酬審議会)で議論されることとなっています。

・区HP 「豊島区特別職報酬等審議会」

・根拠条例「豊島区特別職報酬等審議会条例」
しかし、実際には原則外で政治判断により特別職や議員報酬を変えているケースが過去にあります。

報酬審議会が審議する対象は、特別職の給料の額(月額)、議員報酬の額(月額)と政務活動費の額となっています(条例第1条)。
条例の立て付けでは期末手当については対象とはなっておりません。しかしながら、これまでの答申では、年収総額で検討する考え方もあるため、月額以外の期末手当についても併せて意見が付されてきました。
また、報酬審議会での議論でも、実際には拠り所となる数字が必要となるため、人事院勧告や人事委員会勧告を参考としてきています。

今回の議案の背景

今回はコロナ禍で調査がずれ込んだ影響で人事委員会の勧告は期末手当のみが先行し、月例給は後日報告・勧告が行われる予定となっていました(これまでは月例給と期末手当は同時に勧告されていました)。
報酬審議会では期末手当自体はメインで議論するテーマではなく、月例給の勧告後でないと審議会自体の議論が難しいという事情があり、11月末時点で報酬審議会は開かれませんでした(その後、12月の人事委員会勧告を受けて報酬審議会は開催されました)。

特別職に関して言えば、報酬審議会が行われる前の段階なので、原則通りだと今回のタイミングで期末手当の下げ判断をする必要がない、ということになってしまいます。
しかしながら、最前線で頑張っている職員と共に歩む姿勢を示したい、そのためには同じタイミングで下げの判断をした方がよい、という考えで、区は特別職の期末手当の引き下げの判断をしたとのことです。
議員報酬についても同様に、報酬審議会の答申が出る前の政治判断が必要なタイミングで、一定の姿勢を示そうとしたものです。

下げ幅が不十分だと私たちが考える理由

人事院勧告・人事委員会勧告の期末手当の調査は、前年8月〜当年7月の民間給与との比較で導き出されています。
この期間での比較だと、コロナの影響が色濃くなっている令和2年下期の民間のボーナスは反映されていない結果となります。
支給実績に対して調査を行う手法を取っているためタイムラグが生じるのはやむを得ませんが、急激な状況の変化があった際には対応しきれず、今回の下げ幅である0.05月の引き下げ幅では12月の民間の支給実績との乖離が生まれるだろうということは想像に難くありません。
会派内ではこの観点から、更に踏み込んだ判断が必要ではないか、という意見でまとまっていました。

私たちの対応 3年1月から3月の政務活動費相当額を自主返還

私たちの考えは上記の通りでしたが、報酬審議会の答申が出る前に政治判断を加え、結果的に全会派一致で姿勢を少しでも示すことが出来たのはよかったと前向きに捉えています。

会派としては、今回の下げ幅で民間の厳しい状況を反映しきれていると考えておりません。
しかしながら、議員は寄付行為を厳しく禁じられており、議員報酬の返上などは出来ないことになっています。また、法務局への供託も、法の立て付け上難しいと私たちの会派は考えています。
⇒会派HP「法務局への「供託」をしない理由」

私たちの会派では、今期は政務活動費の1割自主返上(不使用)、と今期初めに決定して運用してきました。
本筋とは異なりますが、政務活動費の自主返上の割合を積み増すことをもって、一定の姿勢を示します。
具体的には、令和3年1月から3月の政務活動費相当額(15万円/月×7名×3か月=315万円)を自主的に不使用とし全額返還することとしました。

下記の通り、令和3年11月26日に令和2年度の政務活動費の不使用分を区へ返還いたしました。
令和2年度政務活動費の返還について