豊島区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例(平成30年第1回定例会第5号議案)への対応について

「豊島区議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例」が平成30年第1回定例会に第5号議案として上程され、審議の結果賛成多数で可決をしました。
 都民ファーストの会豊島区議団もこの議案の可決に賛成を致しました。
 この経緯のご説明とその後の対応について、ご報告をさせて頂きます。

議案の内容

豊島区特別職報酬等審議会の答申に基づき、報酬月額を0.13%引き上げるため改定する。
【答申内容(平成29年12月20日答申)】
特別区人事委員会勧告にある、職員の月例給与0.13%引き上げに倣い、同率の0.13%引き上げることが妥当である。

平成29年 特別区人事委員会勧告 概要
平成29年 特別区人事委員会勧告(全文)

この引き上げの結果、報酬月額が改定となりました。
議長…1,200円/月 副議長…1,000円/月、委員長、副委員長、議員…800円/月

議案への賛成理由について

区長が諮問した「豊島区特別職報酬等審議会」の答申内容を尊重したためです。
審議会は区内の公共的団体等の代表者や有識者などで構成されており、特別職(区長、副区長、教育長、議員)の報酬等を、区長の諮問により審議する機関です。
答申内容は上記の通りです。

豊島区特別職報酬等審議会(以下、報酬審議会とします)

平成28年12月27日「議会改革」の提言との整合と見解

答申内容を尊重はしましたが、その内容は私たちの考えとは異なるものでした。

平成28年12月13日、都民ファーストの会豊島区議団を結成しました。
それから2週間後の12月27日に行った区政報告会にて、
Ⅰ.身を切る改革 Ⅱ.情報公開 Ⅲ.住民目線
の3つの基本的な政治姿勢を示し、議会改革の方向性を表明致しました。

Ⅰ.身を切る改革の③に、
「③議員報酬月額を1割、期末手当約2割の削減を提案」
(③は他会派の賛同が必要だが、提案を行い、実現に向けて努力します。)
と謳っております。

会派としては議員報酬月額の削減を念頭に置いております。
この理由は、本区は区長の年収が特別区内で最低水準であるにも関わらず、議員報酬は年収ベースで上位に位置しており、区長と比較すると相対的に議員報酬が高めの水準であると考えているためです。
今回の報酬審議会の答申は官民較差に基づく特別区人事委員会勧告の内容を尊重したものとなっており、根拠があるものであると理解しております。
しかしながら区長の年収と議員報酬の相対的な水準についても、踏み込んだ議論がなされるべきであると私たち会派は考えております。
今後の報酬審議会で、この観点での議論が深まることを望みます。

報酬審議会の答申と会派としての考えに齟齬が生じた、ということはこれまで述べた通りです。
報酬審議会の答申は尊重されるべきもの、という考えがあるとともに、会派HPに掲載している基本的な政治姿勢を守ることも同時に重要であると考えております。

上記を満たすため、会派所属議員はこの度の条例改正に伴う任期中の議員報酬の増額分は受け取らないことと致しました。
しかしながら議員には寄附の禁止などの制限があるため、単純に議員報酬の増額分を返上するという方法は取れません。
内容については後述します。

都民ファーストの会豊島区議団HP「政策」

法務局への「供託」をしない理由

供託とは、金銭、有価証券等を国家機関である供託所に提出して、その財産の管理を委ね、その供託所を通じて、それらの物を権利者に取得させることにより、債務の弁済、裁判上の保証等一定の目的を達成しようとするために設けられた制度です。
供託には法令に根拠規定がなければならず、供託によって達成しようとする目的(供託原因)により、弁済供託、担保(保証)供託、執行供託、没収供託、保管供託、があります。
このうち、議員報酬の返上というケースを当てはめようとすると、該当しそうなのは弁済供託(根拠規定:民法494条)になります。
弁済供託をしようとする場合、債務者(この場合、議員)が、債務(受け取るべきではない議員報酬の返上)を履行しようとしても、債権者(この場合、区役所)が受領を拒んだ、などの理由により債務の履行が出来ない場合に、債務の目的物(議員報酬の返上分)を供託所へ供託をすることによって、債務を免れることができる、という事になります。
要するに、議員が区役所へ議員報酬の一部を返上しようとしたが区役所に受け取りを拒否された、というプロセスが必要です。

ここで問題が生じます。
議員が区役所へ議員報酬を返上する行為は、公職選挙法で禁止されている寄附に当たるため、公職選挙法違反の恐れがあります。
つまり弁済供託をしようとする場合には、公職選挙法違反の恐れがある寄附を行おうとしたが受け取りを拒否された、というプロセスが必要になってしまうということになります。
公職選挙法違反の恐れがある行為を経ない限り弁済供託をすることができないため、会派としてはこの方法は取れないという結論に達しました。

法務省 供託Q&A
・弁済供託とは(法務省供託Q&A Q2)
金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者は,その債務を履行しようとしても,債権者が受領を拒んだり,債権者の住所不明によりその受領を受けることができなかったり,あるいは債権者が死亡し,その相続人が不明である等の債務者の過失によらないで債権者を確知することができない等の理由により,その債務の履行ができないときにおいては,債務の目的物を供託所に供託することによって,債務を免れることができます。例えば,地代(家賃)を払おうとしたところ,地主(家主)にその受け取りを拒否された場合には,借主は,賃料を供託することによって,支払債務を免れることができます。
・民法494条(弁済供託の根拠法令)
 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。

報酬の増額分の扱いについて

上記の理由により、供託という方法は取れないと会派として判断しました。
公職選挙法違反の恐れがあることから、区へ直接議員報酬の増額分の返上ができないことも既に触れた通りです。
そこで会派の判断として、上記の手段が取れない中で議員報酬の増額分を受け取っていないことを明確にするため、専用の口座を作って随時情報公開をする方法を取ることといたしました。
会派所属議員(平成30年度現在)はこの度の条例改正に伴う任期中の議員報酬の増額分を会派名義の口座へ全額預け、毎月HPにて公開いたします。

◆議員報酬増額分(会派所属議員は、副委員長又は議員のため、議員報酬の増額分は同額)
議員一人当たり年額…14,124円/年 
(上記内訳)
報酬月額 800円/月(9,600円/年)
6月期末手当 2,204円
12月期末手当 2,320円

なお、議員を引退した場合は区への寄付行為が可能となるため、その際には区へ該当額を返上する方針です。
議員報酬の在り方については、年収ベースでの水準で、①23区内でのバランス、②区長との相対的なバランス、を取る必要があると考えます。
今後年収ベースの水準で、上記2点を踏まえた議論をしていきたいと考えております。

議員報酬の増額分の返上

平成29年4月~30年3月分、30年4月~11月分
平成30年12月~31年4月分